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ヨーロッパにおけるモダンコンビニエンス・ストアの台頭
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ヨーロッパにおけるモダンコンビニエンス・ストアの台頭

By Mike Watkins, Head of Retailer and Business Insights, U.K.

ヨーロッパにおける景気回復のスピードが遅いため、消費者が期待するほどの成果をもたらさず、景況感は低迷を続けている。過去5年間の経済の混乱はショッパー(買い物客)の行動を変え、消費者は依然として慎重なままだ。要するに、ショッパーは価値、コストそして利便性に増々関心を集めるようになり、これらの特性が多くの国で量販チャネルの拡大や、これまでより小型の店舗形態の発展をもたらし、オンラインという新チャネルの創出に火をつけてきたのである。

ヨーロッパで、景気回復前に従来型店舗が成長する主な原動力となったのはインフレと大型店の新たな売り場であった。景気の完全な回復が見込めない中、消費財の購入を駆り立てようとする新たな競争が始まっているが、この争いのおかげでモダン(近代的)コンビニエンス・ストアは発展しつつある。


モダンコンビニエンス・ストア

不況がもたらしている変化を背景として、買い物の際に本格的なスーパーマーケットと従来型コンビニエンス・ストアの中間に位置する選択肢を求める消費者が増えてきている。例えば、イギリスではショッパーの70パーセントが飲食料品を週ごとに購入したいと回答しているが、これは言い換えれば、郊外の大型店舗を訪れる消費者が多くはないだろうことを示唆している。「モダンコンビニエンス・ストア」は、2~3週間分を大型スーパーで購入するのではなく、数日分の飲食料品を幅広くそして「ちょくちょく、ちょっとずつ」購入したいと思っている消費者のライフスタイルニーズを満たすだろう。これらの新型店舗では食料品全体の品ぞろえは縮小するであろうが、ここで重要なのは、チルド食品、青果、ベーカリーそして精肉といった生鮮食品の売り場拡大が見込まれることである。これらの店舗では生鮮食品の売り上げが最大で全体の50パーセントを占めるであろう。


モダンコンビニエンス・ストアは出来合い惣菜の提案にも力を入れ、ショッパーが「今晩の食事」を購入する機会を豊富に提供するだろう。消費者は、次週の食事の準備に向けて買いだめをするために、こうした店舗を訪れることもあるだろう。モダンコンビニエンス・ストアは、だいたい3~4日に1回買い物をする今日の消費者のライフスタイルニーズに完璧にマッチするものと思われる。

買い物を楽しんでもらうことの重要性

消費者は依然としてコストに敏感で財布を開く前に商品価格を比較しているので、ディスカウント・ストアもトレンドとしてヨーロッパで勢いを増してきている。消費者にとっては、スーパーマーケット対ハイパーマーケットの熾烈な価格/販促競争の恩恵に預かるのが当たり前のことになっている。彼らはディスカウント・ストアがテレビ、雑誌や地元チラシでの強力な宣伝でひっきりなしに発伝えてくる価格情報を利用することにも熱心である。このように、消費者はこれまでないくらいに価格と予算を意識している。実際に、消費者の50パーセント超が普段買う商品の価格を認識していて、値上がりや値下がりに気付くと答えている。モダンコンビニエンス・ストアで買い物をする際にも同様に、消費者らは価格に見合った価値を期待してくるであろう。

 

 

とは言え、小型店舗側にとってはこうした市場やチャネルのシフトは関係なく、依然として店舗の場所が肝要となるであろう。ショッパーらは概して(例えばディスカウント・ストア、コンビニエンス・ストアやオンラインといった)様々な店舗を頻繁に訪れているが、しかしその多くは依然として最も近くにある店舗に訪れているのである。

加えて、ショッパーは買い物に出掛けるたびに決まって同じ店を訪れると答えている。このことからは、コンビニエンス・ストアで成功するためには魅力的な価格と販促活動に加え適切な商品ラインナップ、買い物の際の利便性や生鮮食品の提供が不可欠であることがわかる。そうした経営努力はショッパーのリピートや購入金額の増加といった形で報われるであろう。

しかし、ニールセンの調査は、コンビニエンス・ストアを選ぶ際にショッパーは店舗の場所だけでなく幅広い品ぞろえやサービスであるかどうかも考慮するであろうこと、そしてリテーラー(小売業者)は小型店舗を構えた方が来店客数と売上を稼げるであろうことを示している。

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ヨーロッパの中で最も進んだモダン・コンビニチャネルを擁するイギリスでは、ショッパーがすでにモダンコンビニエンス・ストアをメインに利用している。これらの店舗を「買い足し」のためだけに利用していた頃からの移り変わりは新たなビジネスチャンスを生じさせ、このニーズに応えるべくリテーラーが新たなロケーションにやや大きめの店舗を構える契機となっている。ヨーロッパのほかの国々、特にフランス、オランダそしてイタリアの都市化が進んでいる場所でも消費者がモダンコンビニエンス・ストアを求め始めているところだが、これは協同組合、独立した経営者やガソリンスタンド店そして共同経営のスーパーマーケットに至るまで、利益を上げることに関心のある様々なリテーラーにとって大いなるチャンスである。

ディスカウント・ストア業界そしてモダンコンビニエンス・ストア業界の進化を踏まえ、リテーラーは下記5点を覚えておくべきである:

• ショッパーの定着率を上げるべく、リテーラーはもっと小型の店舗形態を発展させるべきである。
• ショッパーは店舗を選ぶ際に、店舗の場所に加え自分たちの目的も考えている。
• コンビニエンス・ストアでショッパーに来店頻度や購入金額を増やしてもらうために、価格に見合う価値を提供し、適切な販促活動を行うことは必要不可欠である。
• かつて外食という機会がそうであったように、コンビニエンス・ストアに並んでいるブランドにとって店舗でのイートインが重要になってくるであろう。
• モダンコンビニエンス・ストアは、ショッパーが将来間違いなく利用する店になるために、高齢化を踏まえ、コミュニティの特色に焦点を合わせることが増々重要になってくるであろう。

以上がヨーロッパにおけるコンビニエンス・ストア業の今後5年間の傾向であると言えるであろう。