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店舗が、売上をあげるための“つながり”を見つけるには
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店舗が、売上をあげるための“つながり”を見つけるには

テクノロジーの急速な発展は、ライフスタイルだけはなく、買い物の習性も変えつつある。人々は“(デジタル機器などとの)接続”が増えることで忙しい日々を過ごしており、 買い物かごに何を入れるかを決める際、一見するとばらばらな品質のものを探すことが多くなっている。消費者が利便性、新鮮な食品、お財布にやさしい選択肢を求めることで、店舗力学も変わりつつある。長いこと売上に苦戦する商品や通路(売り場)もある一方、なんとか生き残っている商品や通路もある。これまで以上に、ブランドや店の成長のためには、店舗全体への徹底した理解が必要とされるのだ。

小売店やメーカーは、これまで、お店の特定の通路や売り場のみに重点をおいた見方で、商品の売上を調べ、戦略を構築してきた。しかし買い物客の店舗に対する見方はそうではない。(売り場やカテゴリー間を)分離した視点では、店舗のとある部分が他の部分にどのように影響を与えるのかを理解することは難しい。例えば、これまでの物の見方では、調理済み惣菜のチキンや付加価値のある野菜といった新鮮な商品が近年、売上を伸ばしていることと、中央通路で売っている穀物の売上が横ばい、あるいは減少しつつあるという2つの事実は、ある特定の商品が他の商品から売上を奪っているということを指し示しているように見えるかもしれない。しかしこの認識は限定的で、根拠のない推測に基づいたものだ。

真実は、私たちはみな“店舗全体の買い物客”であるということだ。例えば平均的な買い物客は、食料品に費やすお金の約80%を中央通路に陳列されている商品に使う。いっぽう、新鮮さに重点を置く買い物客でさえも、食料品支出のうち30%しか生鮮食品に費やさない。買い物客は日々のニーズを満たすために店舗のあらゆる通路を回っているので、小売店やメーカーは、お客が日々の食事の準備のために、通路ごとにある「点」(買いたい商品が置いてある場所)をどのようにつなぐ(買い回る)のかをもっと理解する必要がある。

つながりを利用する

食料品のお店では、ほかの商品との結びつきの強い商品の収益構造を進化させている。特定のカテゴリーが店舗全体の健全性に重要な役割を担い、他の商品と結びつきの強いカテゴリーの業績の変化は店舗全体の売上に影響するからである。つまり、こういったカテゴリーは、ほかの商品や通路(売り場)との結びつきが強いことから、店舗にとって一層価値がある、ということがいえる。

例えば、新鮮なチキンの胸肉の売上は、133の商品カテゴリーに対し、正の強い相関関係 (0.5より大きい)がある。また、この133カテゴリーは店舗の56%の売上を占める。結果として、肉の価格上昇は、パスタや缶に入った野菜など、ほかの商品の売上にも波及効果がある。新鮮なリンゴの売上でさえ—それほど明らかな関連性がないように見えるかもしれないが―、鳥の胸肉と0.75の相関性がみられることから、肉の売上にさかのぼることができると言えるかもしれない。

朝食の便益

店舗において、“つながり”をベースにした見方をすると、小売店やメーカーは単独のカテゴリーを超えた戦略をたて、消費者のニーズや食事という場において勝機を見出すことができる。いくつかのカテゴリーが、共通の便益(利便性、健康、あるいは憧れ)や食事という場(朝食、夕食または軽食)を共有したり、同じ消費者ニーズの元にほかの複数のカテゴリーと結びつくことも可能になる。そういった便益―あるいは、朝食といった場を共有している商品、すなわち“一貫性のあるつながりをもたらす商品”は店舗の様々な場所にある商品カテゴリーの売上を向上させる、要としての機能を果たす。 

例えば、オレンジジュース―朝食における“一貫性のあるつながりをもたらす商品”は、準備の必要な食品(シリアル、卵、ソーセージ)とすぐに消費される食品(ベーグル、調理済み総菜、ドーナツ)両方のカテゴリーの売上に統計的な関連性をもたらしている。つまり、小売業者は、店舗全体の利益を増やすために、食事という出来事において、用意が必要な朝食とすぐに食べられる朝食両方の消費者ニーズを満たすべく、オレンジジュースをフルに活かすことができるのである。

つながりの無さを活かす

しかし、店舗において、他とつながりの弱い商品カテゴリーもまた重要で、売上増加を促す手助けとなる。ベーカリードーナツ、調理済みサンドイッチ、ローストビーフのようなカテゴリーにおける売上成長はほかの商品売上に支配されないので、売上増大分が共食いになったり、ほかの商品から売上を奪ってくることがないからだ。

メーカー側にとって(ほかの商品と)つながりの薄い商品は、珍しい商品パートナーを見つけるチャンスや、店舗の新しい売り場を成長させる機会を示している。つながり薄い商品とパートナーを組むことで、短時間の買い物(調理済み惣菜やベーカリーデザートなど)、きわめて季節性の高い買い物(チェリー、ターキー、日焼け関連商品)、あるいは特定分野での購買層(ヒスパニックまたはアジアの人々に関係のあるコーシャ(ユダヤ教の食事規定に従った商品)の食品や商品)を魅了する新しい機会がもたらされる。

結局のところ、店舗全体でのつながりを理解することは、消費者が通路(売り場)でどのように買い物しているかに対する見方の手助けとなる。この理解をもとに、メーカーと小売店は、消費者ニーズをより良い形で提供できるよう、自分たちの価値を活用して店を工夫することができるだろう。