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デジタルメディアの正しい価値を示すには
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デジタルメディアの正しい価値を示すには

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広告収入によりビジネスをおこなっているメディアにとっては、自社メディアの価値を正確に示して、適正な収益を得ることが重要です。デジタルメディア各社の営業資料を見比べると、PV(ページビュー)数やUB(ユニークブラウザ)数、UU(ユニークユーザー)数など様々な数値が並んでいます。個々のメディアにとって、その価値を示すうえで適した数値が使われていると思いますが、こうした状況は広告主や広告会社、そしてメディア業界全体として、本当に望ましい状況なのでしょうか?

今回は、デジタルメディアやパブリッシャーが健全に発展していく上で望まれる価値の示し方について考えたいと思います。

デジタルメディアの正しい価値を示すには

■デジタルメディアにとって望ましくない3つのポイント
結論からいうと、現状は業界全体にとって望ましい状況とは言えません。望ましくないポイントは、次の3つです。

× 各メディアが独自の指標を使用していること
× “人”ベースではない指標を使用していること
× 分散視聴に対応していない数値を使用していること

これらのポイントをクリアした状況、つまり「業界全体で共通の”人”ベースの指標を、すべてのメディアを対象として計測」できる状況こそ、業界全体が健全に発展していくことができる条件ではないかと考えています。以下、それぞれのポイントがなぜ望ましくないのか、見ていきたいと思います。

■共通の指標を使わないことが、業界全体の価値を下げている
冒頭でも触れたように、現状、各社の営業資料をみると、それぞれのメディアが独自の指標を使っています。各メディアにとっては、自社の価値(他社と比べて良い結果)を示すうえでは問題はないように見えます。しかし、これらの情報をもとにメディアプランを考えて広告出稿を行う広告主や広告会社にとって、望ましい状況とは言えません。なぜなら、様々なメディアを横並びに比較し、キャンペーンの目的に合った最適なメディアの組み合わせを考えることが困難で、多くの広告主が苦慮しているからです。最適なメディアプランを考えられない結果、本来出せるはずの効果を出し切れずに終わってしまうと、それぞれのデジタルメディアに対する評価も悪くなるでしょう。さらには、テレビなどの他のメディアと比較したときに、効率の悪いメディアを選定してしまったことにより、デジタルメディア全体の評価が低くなってしまう可能性もあります。最悪のケースでは、デジタルメディアに割く予算が減らされる可能性もあります。
こうした事態を改善するためには、他のデジタルメディアと比較可能な共通の指標を使用していくことが望まれます。そうすれば、広告主が最適なプランニングを実施することができるようになります。そして、デジタルメディア上での施策で効果を出せるようになれば、予算を増やしていこうという意思決定を行う場合もあるでしょう。また、視聴者全体の数では他の媒体に比べて小さな数になったとしても、特定のセグメント、例えばF1(20-34歳女性)については他社をしのぐリーチ力を示せる可能性もあります。このように、正確な属性別の共通指標を示していくことが、各メディア並びにデジタルメディア全体の発展につながるのではないでしょうか。

■デバイス間の重複も除いた”人”ベースの指標が望まれる
2つ目のポイントは、各メディアが“人”ベースではない指標を使っている点についてです。”人”ベースではないとは、つまり、PVやUB、UUといった数値では、何人に何回視聴されているのかがわからないということです。例えばUBでは、1人の人が複数のデバイスやブラウザを利用している場合、同じ人だと判定できません。
また”人”ベースでの数値がわかったとしても、例えば、「パソコンから1,000万人、スマートフォンから3,000万人、合わせて延べ4,000万人」といった数値では、パソコンとスマートフォンでの重複を除いて、ユニークで何人にリーチできるのかわかりません。パソコンで広告を見た人に、スマートフォンなどの異なるデバイスでも広告を見てもらうことで効果を高めようと考えている広告主にとっても、フリークエンシーは少なくして多くの人に広告を届けたいと考えている広告主にとっても、重複して利用している人数はプランニング上重要な数値になります。デバイス間の重複も除いたトータルデジタルでの”人”ベースの指標を使用すれば、このような広告主の要望にも応えることができ、より効率的、効果的なキャンペーンの実施が可能になり、メディアの価値をより正確に示していくことができるでしょう。

■分散型メディアのメディア価値も正確に把握できる時代に
次に、3つ目のポイント「分散視聴に対応していない数値を使用している」という点について考えてみましょう。昔であれば、自社で作ったコンテンツ/記事を自社で運営しているサイトやアプリ上に掲載しているだけでしたので問題はありませんでした。しかし、近年では主にソーシャルメディア上にコンテンツを配信することで、自社サイトに訪れない人にもコンテンツを届ける、「分散型メディア」と呼ばれる考え方が出てきました。このような手法を取っている場合、自社サイトに訪れてコンテンツを見てくれた人だけをカウントしていては、ソーシャルメディアなどの自社メディア以外のプラットフォームでコンテンツを見てくれた人をカウントすることができず、過小評価されてしまいます。日本よりも早く分散型メディアが発展し、そのメディア価値の計測が始まっているアメリカでは、自社メディア以外のプラットフォーム上での視聴も含めた計測が始まっています(事例は、こちら:図表はアメリカの事例で、分散型メディアの雄であるBuzzFeedを見るミレニアル世代は、1か月間で83%にものぼることがわかっています。)。日本においても2018年7月より計測が可能になり、今後こうした数値を使ったメディア価値の示し方が増えてくると予想されます。

■最後に
今回は、デジタルメディアの正しい価値の示し方として、3つのポイントについてみてきました。すでに、こうした3つのポイントをクリアした指標の計測は可能になっています(例えば、こちら)。しかし、1つ目のポイントで話したように、他社と比べた時に規模が小さく見える場合や、これまでの指標が持っていたインパクトが弱くなる場合もあることを考えると、各メディア企業にとってはこれまでの指標から変更するのは簡単ではないでしょう。ただし、同じく1つ目のポイントで述べたように、正しい価値を示していくことこそが、最終的には、結果としてすべての関係者が利益を享受できるようになると考えられます。このためには、関係者全員の協力が必要となるでしょう。こうした共通の指標を計測するソリューションを提供する立場として、弊社も業界全体の発展のために貢献していきます。

ニールセン シニアアナリスト 高木 史朗