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広告効果最大化につながるブランドリフト調査を行う上での注意点
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広告効果最大化につながるブランドリフト調査を行う上での注意点

Nielsen Digital Shiro Takagi

多くのマーケティング担当者は、デジタル広告業界でのブランド広告の台頭により、ブランドリフト調査を実施する企業が増えていると述べています。一般的にブランドリフト調査には、「プレvs.ポスト」あるいは「接触者vs.非接触者」を比較する方法がありますが、デジタルでは広告の接触の有無をログベースで判断できることから、より正確にその広告の効果を把握することができる「接触者vs.非接触者」のブランドリフト調査が増えてきています。

ブランドはそのようなブランドリフト調査結果を基に広告クリエイティブや利用するメディアを改善し、ビジネスを拡大します。しかし、正しく調査が実施できていないと、効果が正しく把握できないばかりか、間違った判断をしてブランディングに悪影響が出る可能性もあります。そのため、正しく調査設計をしたうえで、調査を実施し、その調査結果を活用していくことが重要になります。

ニールセン デジタルのシニアアナリストの高木史朗は、デジタルにおいてブランドリフト調査を利用してキャンペーンを改善する際に、ブランドが留意すべきことのいくつかを紹介します。

調査設計時に重要なのは「適切な比較対象を作ること」

ブランドリフト調査の設計を行っていく上で重要なポイントはいくつかありますが、特に重要なのは接触者と非接触者を適切に設計することです。適切なサンプル数を集めることや、適切な質問項目を設定することは、一般的なアンケート調査でも重要なポイントですが、ブランドリフト調査では、「どういったデータを比較して効果があったと判断をするか」を適切に設計しないと、正しい効果を測ることができません。

Digital Brand Lift

例えば上の図表のように、男女別に広告接触者と非接触者の広告効果(ブランド認知)を比較した場合に、女性では非接触者のうち、ブランドを認知している人が40%いるのに対して、男性では非接触者のうち5%しかブランドを認知していないという例を考えてみます(女性向けの商品カテゴリー、例えば化粧品ブランドの調査などでよく見られる例になります)。本来ブランドリフト調査では、広告に接触したことによる効果を測るため、広告に接触したか、しなかったかということ以外で違いがない接触者グループと非接触者グループを比較する必要があります。このような設計ができていない図表の左側のケースでは非接触者の男女比が接触者と異なっているため、正しく男女比をそろえた右側の結果と大きく異なってきます。「効果があった」というポジティブな調査結果だとしても、このような調査結果をもとに広告プランニングを実施していくと、予定通りの予算では目標数値を達成することはできません。

デジタル広告の効果測定を行う上での落とし穴を理解する

わかりやすくするために、前述の例では男女比を大きく変えて説明しましたが、実際にはこのような設計をすることはなく、少なくとも性年代構成比をそろえたサンプルで比較することが多いでしょう。しかし、接触者データは、一般的な消費者と性年代構成以外の点でも属性別の構成割合が異なっていることが多いです。その大きな要因は、広告を配信する際に、既にその商品に関心を持っているであろうターゲットと効率的にコミュニケーションが取れるように配信をプランニングしているためです。ターゲット属性が多く含まれるであろうメディアを選定する、あるいはDMP(Data Management Platform)を活用してターゲティング配信をしている場合、非接触者グループを一般的な消費者の中から、性年代構成だけ接触者とそろえて集めると、前述の例のように正しくない比較対象を意図せずに作ってしまうことがあります。

デジタルではログベースで実際に広告に接触したか、していないかを判定できるため、アンケートベースの広告想起者vs.非想起者で比較する効果測定よりも正確な比較ができると思いがちですが、広告接触の有無以外の要素をできる限りそろえた、「同質性が担保されている」非接触者グループを集められるように調査を設計することが非常に重要になります。簡単に同質性を担保する方法として、アンケート項目の中に「商品カテゴリーに対する関与度」を入れて、性年代構成比に加えて、関与度の高い人の割合も同じ割合に設計するだけで、より正しく効果を把握できるようになります。

キャンペーンを改善していくこと、最終的には広告効果を最大化することを目的に、効果測定を行っているにも関わらず、適切なデータを比較していないと、キャンペーンが改善されずビジネス目標も達成できない可能性があります。ターゲティング配信を行っている場合はもちろん、ターゲティングをしていなくても、無作為に回収したはずが、接触者と非接触者との間で属性の偏りがでることがあるため、調査設計時に、正しい比較対象グループを作れるように注意を払うことが重要になります。

※2019年4月に「デジタル広告のリーチとブランディング効果を把握する調査ソリューション『BRAND LIFT PLUS』を正規サービスとして提供開始」というタイトルでリリースを配信しております。BRAND LIFT PLUS(ブランドリフトプラス)とは、弊社と株式会社ビデオリサーチインタラクティブが共同開発したブランドリフト調査です。ご興味のある方は併せてご覧ください。