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コンテンツを増幅するコネクテッドデバイス
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コンテンツを増幅するコネクテッドデバイス

インターネット接続がユビキタス化する現代において、メディアの細分化はコンテンツを欲する消費者に対し、無数の選択肢を与えているように見えます。テレビで視聴するコンテンツは単体で話題となりますが、インターネット接続が過去10年間、どのように視聴者のテレビ利用に変化をもたらしたかについてはまだ解明されていません。

コネクテッドデバイスのユビキタス化が意味すること

現在の状況を俯瞰すると、『Tiger King』、『Squid Game』、『Ted Lasso』などのヒット番組が大きな話題となっていることから、、インターネットに接続されたメディア(コネクテッドデバイス)の消費を牽引しているのは、一見するとストリーミングの成長であると思われがちです。しかし、実際には、テレビに接続されたインターネットデバイスは、大手の定額制ビデオ・オン・デマンド(SVOD)プラットフォームで提供されているコンテンツよりもはるかに多くのコンテンツを消費者に提供しています。

2021年8月時点、米国の総世帯の81%強が最低1台のコネクテッドデバイスを保有し、これらの世帯ではインターネット上に存在するあらゆるコンテンツにアクセスすることができます。これは2019年8月の72%から増加しています。コネクテッドデバイスには、スマートテレビ、ゲーム機、Amazon Fire TV SticksやRokuデバイスなどのOTT(Over-the-Top)デバイスなどが含まれます。また、テレビ保有世帯は従来の地上波テレビ放送を含むテレビ視聴(無料または有料)においてインターネットへの依存を高めています。事実、有料ケーブル・衛星放送に加入していない「コードカッター」は、現在米国の総テレビ保有世帯の41% を占めています。

インターネット接続がもたらす大きな影響

消費者は多種多様な手段でテレビを視聴している実態を踏まえると、インターネット接続が消費者のコンテンツ体験にもたらした変化を特定することは簡単ではありません。そこで総テレビ利用時間という視点で集計すると、過去10年におけるテレビ接続デバイス利用の推移が重要な要因となります。2011年9月時点、2歳以上の平均的な米国の消費者がテレビ接続デバイスに費やした時間は、1日平均25分でした。対して2021年同時期の同平均時間は、1時間23分にまで伸びています。この変化は、特に2歳から11歳、12歳から17歳、そして18歳から24歳の若い世代において顕著になっています。

COVID-19によるテレビ接続デバイスの普及と利用の促進

近年におけるテレビ接続デバイス利用の拡大の理由として、入手のしやすさ、アクセスのしやすさ、新しいメディアの選択肢の拡がりなどのすべてが影響しています。しかし、2020年に入ってすぐに世界で感染が拡大したCOVID-19 により、テレビ接続デバイスの利用は2020年以前と比べ、飛躍的に加速しました。

2011年から2019年にかけて、2歳以上のテレビ接続デバイス利用は横ばい、あるいは数パーセント程度の増加でしたが、2020年9月から2021年9月のデータを見ると、同デバイスの利用時間比率は26% から32% へと急上昇しました。データをより詳しく分析すると、昨年における パンデミックの影響で、高齢者の利用が顕著に増加しており、50~64歳の利用時間は昨年の15%から22%に急増しています。

新たな細分化の兆し

消費者にとって、今日のメディアの選択肢の広さは、好みの異なる人々を楽しませるコンテンツの選択肢を無限に広げているように見えます。 

定額制、広告付きを含む動画ストリーミング配信に目を向けると、今年の半ば時点で、消費者にとっては 200以上のサービス選択肢があり、この数は来年以降も増え続けると予想されます。「フラグメンテーション(細分化)」という言葉は、メディア業界の選択肢を表すために長年使われてきましたが、デジタル動画への移行は、消費者との最適な関係を構築しようとするコンテンツ制作者、広告主、広告代理店にとっての課題を増大させます。。例えば2021年10月時点での総テレビ利用に占めるストリーミング比率は 28%ですがそのうち9%はビッグ5(Netflix、YouTube、Hulu、Prime Video、Disney+)以外のプロバイダによるものです。

消費者にとっての選択肢の増加は、業界にとっては把握しなければならない情報も増えることを意味します。なぜなら、新しいプラットフォームやチャネルが既存の選択肢を完全に置き換えてしまうことはほとんどないからです。また、インターネット接続の場合、新しい選択肢やチャネルはすべて、それぞれが独立して存在しています。これは、新しいケーブルチャンネルが登場したり、放送されていたチャンネルが廃止されたりした場合の影響とは大きく異なります。進行著しいメディアの細分化にまどわされない最も簡単な方法は、適切なデータセットの活用を通じて消費者がどこにいるのか、何に対して関わっているのか、そしてリピート意向があるのかどうかを把握することです。