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マスマーケティングに頼らないテスラは成長を続けられるか?

1分で読めるシリーズ|ニールセンオートチーム ビジネスデベロップメント シニアディレクター ケンダル・スミス氏|2021年9月号

かつて「成功はより多くの仕事を生み出す」と語った賢人がいた。そして、Teslaがマスマーケティングにコミットするならば、Teslaの驚くべき業績はさらに拡大するでしょう。

親愛なるテスラ様

御社の最新型超高速モデル「Model S Plaid」がプレスから高評価を獲得、特にウォールストリート・ジャーナル紙のダン・ニール氏が「技術的な大傑作」と評価されたことと、おめでとうございます。60mph (約0-96km/h)僅か2秒で加速、わずか15分の充電で187マイル(約300km)の距離が走行可能など数々の自動車メーカーが達成できなかった技術を実現したこと、本当に見事でした。

しかしながら、気になることがあります。Teslaが自動車業界における世界的なステークホルダーとなるためには、現状と未来像の間に大きなギャップがあるのです。2022年以降、EVという戦場がどのように変化するかを考えることが得策だと思われます。

BMW、トヨタ、メルセデス・ベンツなどのブランドは、広告で展開するイメージやキャッチコピーを通じて、継続的に消費者の共感を獲得しています。場所」などが代表的な例と言えますが、これらのキャッチコピー、長年のブランド構築施策や認知構築キャンペーンにより、多くの消費者に認知されるようになりました。

対してTeslaの広告投資は少なく、ブランドアイデンティティを確立するまでに至っていません。

「メディアの報道や口コミが、現在のTeslaの見込み顧客発掘の主な原動力であり、伝統的な広告販売を達成するために役立っています...」と。

勿論、消費者はTeslaの技術的優位性に精通していますし、熱狂的なクルマ好きは皆、Teslaのドライビング体験や技術的進歩に大きな魅力を感じています。

これらのファンが理解していないのは、Teslaが事業を行う理由、すなわちマーケティングの中心的な教義の1つである存在理由ではないでしょうか。ゴールデンサークルのプレゼンテーションで語った「消費者は、何をするかは気にしない」、「ブランドがするかは、なぜそれをするのかを気にする」、「一に集約されています。

Appleは、ジョージ・オーウェルの有名な小説にかけた「1984」というタイトルのテレビスポットを1984年のスーパーボウル中継番組中に流し、同社の「存在理由」を明快に伝達した番組です。1回だけ流れたコマーシャルでは、Appleのブランドがメッセージとして訴求され、同社の「チャレンジャー」にアイデンティティに基づく広告により、広告を制作したChiat社のリー・クロウ氏は、広告業界におけるスタークリエイターの座を獲得しました。

Teslaの戦場が間もなく大きく変化することを鑑みると、Appleの事例は視点を提供すると言えるでしょう。Teslaの多くの競合自動車メーカーは、時間をかけて反撃計画を立てている上に、世界で最も有能なマーケティング担当者を抱えています。

もっと証拠が必要ということでしたら、米国における自動車販売台数とテスラの現在のポジションを見てみましょう。 2020年(1-12月期)、テスラの販売台数ランキングは13位で、ジャガー/ランドローバーをかろうじて上回っていますが、ちなみにマツダもマスマーケティングに多くの投資を行っています。

Nielsen Ad Intelのデータによると、自動車業界全体の2019年広告費は110億ドル超、新型コロナの感染が拡大した昨年でも、業界全体で73億ドルの広告に投資しています。 

Teslaのように優れた技術力を持つ自動車メーカーが世界シェアを拡大するためには、何をしたらよいのでしょうか?恐れながら、以下に幾つか提案したいポイントをまとめます。

  1. 御社のCMOに対し、マーテックへの投資をお願いする:例えば、マルチタッチアトリビューションを採用すれば、インプレッションをコンバージョンに変換する上でのインサイトが明らかになり、広告を特定することが可能になるDMPに投資して、ファーストパーティデータをサードパーティデータと共にアクティベーションすること、リーチやインパクトの拡大ができるROI分析を実施最良のターゲットオーディエンスを特定し、これらのオーディエンスが購入した自動車モデル、下取りに出したモデルを把握すると共に、Teslaの販売ドライバーを把握すること。
  2. 広告インパクトのあるイベントの開発:Teslaというブランドにふさわしい会場にて、2分の長尺ブランド動画を発表する。スーパーボウルでも構わないが、Teslaの中心的価値を広めるには、より良いやり方があると思われる。なぜ」精神に関連する。2022年アースデイにテレビのプライムタイム枠でのコマーシャル放送を計画する人類と地球の関係祝い、音楽アーティストの演奏でメッセージを強化する同時に、会場に地球の守護神(エコなイノベーションを推進する専門家など)を勢ぞろいさせるイベントで制作すれば、イベントにおける競合他社の広告を排除することができるあるいはする。Netflixでイベントをストリーミング配信し、Netflix初となる広告を配信する。
  3. 一貫したメッセージの開発:上記の広告のインパクトのあるイベント開催後、ブランドアイデンティティのコミュニケーション開始、訴求を維持するブランドへの取り組み KPIを用いて結果を計測する消費者が有名な砂糖入り炭酸飲料を100年間、平然と飲み続けているのには理由がある。

伝統的な自動車メーカーは、自らのブランドエクイティを強調することでロイヤルティを高めることができます。EVモデルをローンチする際には、Teslaが新モデルを開発する過程で達成した技術的進歩をメッセージに含めることをお薦めします。電源などの第三者評価も強調する必要があるならば、短期的な利益を犠牲にして、Teslaの業界リーダーポジションを強固にする、新たなEVに投資することも考えられます。

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