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コラム・シリーズ 「世界の流通チャネルの最新事情」第3回 アジア、中国におけるオンラインショッピング ~Eコマースの潮流
レポート

コラム・シリーズ 「世界の流通チャネルの最新事情」第3回 アジア、中国におけるオンラインショッピング ~Eコマースの潮流

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アジアのオンラインショッピングへの強い興味と、世界最大規模のEコマース市場を持つ中国の現状

当コラムでは、世界のオンラインショッピングの中でも今後の大きな可能性を秘めているアジア、特にすでに急成長している中国について、また、既存のオフライン店舗業態への影響と可能性を検討してゆく。

ニールセンが定期的におこなっているオンラインショッピングについての世界的な消費者調査によれば、アジア地域の消費者は他の地域に比べてオンラインショッピングに対する受容性が高い傾向がみられる。オンライン通販やオンライン購買の店頭受け取りについて、最も経験率が高く、未経験の消費者でも購買意欲が高い。

オンラインショッピングと聞くと「安売り目当ての消費者だけではないか」と敬遠するマーケターもいるかも知れないが、日本の企業でも、国内で全国展開に向かないプレミアム商品をネットで展開するなど、独自の視点でオンラインショッピングを成功させている例は少なくない。

消費者実態、マインドから見る、今後のアジアにおけるオンラインショッピングの潜在的可能性

ニールセンの調査によると、アジアの消費者は約37%がオンラインでの注文、宅配の経験があり、53%が今後利用する意向が有ると答えている。世界の地域別に見てもアジアが最も高い地域となっている(図1)。

図1. アジア太平洋地域で高いオンラインショッピング(Eコマース)の可能性

(出典:Nielsen  E-commerce & New Retail Survey 2014 Q3)



オフラインとオンラインの使い分け: 手に取る vs. 運んでもらう

オンラインショッピングにあった製品群、品揃え、という観点で消費者マインドを、また実際のEコマースの販売データを見てゆくと、世界のどの地域にもある程度共通のポイントが見えてくる。
当社のEコマースの世界的な消費者調査および数ヵ国のEコマースの実態調査から、一般的な生鮮食品や加工食品、日常的なパーソナルケア製品などでは;

1. 自宅で貯蔵・収納が可能な日用品(ボディソープや洗剤、歯磨き、化粧品やトイレットペーパー)

2. かさばるが重量は重くなく、送料が安いため持ち運びするよりも届けてもらいたい製品

3. 高い利益率からよく値引きされ、常備しておくと便利な日用品(紙おむつや乳児用食品、ペットフードなど)

などが、オンラインショッピングに向いていると思われる(図2)。

図2. Eコマースの成功に最も適合する貯蔵と価格に敏感な商品カテゴリー

(出典:Nielsen  E-commerce & New Retail Survey 2014 Q3)

対するのは、オンラインショッピングに向かない、障壁となるポイントのある製品群である。痛み止めなど、緊急なニーズに対応するための商品がオンラインショッピングに向かないのは想像に難くない。これに加えて、鮮度が売りの生鮮食料品などはできるだけ早く消費したいニーズがある。これらの生鮮食料品は、鮮度や見た目、匂いや味などの関心もあり、消費者にとっては店頭でじかに見て試して選びたいニーズが強い。冷凍食品も貯蔵の利点はあるものの、やはり生産現場から消費者へ届けられるまでのさまざまな輸送の段階で鮮度管理が問われる。特に冷凍・冷蔵技術や輸送手段が発達途上のアジアの国々ではなおさらだ。

世界第1位のオンラインショッピング市場を持つ中国

中国では11月11日は「1」が4つ並ぶところから「独身の日」と呼ばれ、この日のネット商戦は、春節(旧正月)のそれに匹敵する様相を呈する。これは、中国でネット通販大手企業のアリババが通販を普及する狙いで2009年から始めたキャンペーンだが、同年11月11日のアメリカのニューヨークタイムズ紙もその過熱ぶりを報じている。同紙によればアリババはこの日だけで143億ドル相当の売上を達成し、前年同日の販売を93億ドルも上回って過去最高となったという。中国のEコマースは普及率でこそアメリカに及ばないものの、市場規模では2013年すでにアメリカを抜き、2014年には3兆元(1元=18.7円として約56兆円)に迫る勢いで伸びている(図3)。

図3. 中国のオンラインショッピング(Eコマース)市場の巨大な可能性

(出典: China & Chinese Consumers July 2015, CNNICの公開資料)

従来の小売・流通業態から見た中国のEコマースの市場規模

CNNICの公開資料では小売流通の10.9%を占めるとされており、弊社の捉えている中国のオンラインショッピングのデータを消費財13主要品目で見たところ、2014年は小売流通の19%という規模に匹敵していた。

プロモーションを利用する場としてのオンラインショッピング

この近年の中国のEコマース市場の伸びは、“4G”によるスマートフォンの普及と、Alibabaなどの台頭に伴い中国の消費者が手軽なオンライン、モバイルショッピングでのプロモーションに惹かれていることもあると思われる。最近の当社消費者購買パネル調査では、中国の1年間のオンラインショッピング購入の6割が、何らかのプロモーションの製品の購入となっている(図4)。これは従来のオフラインの買い物での割合よりはるかに高く、中国の「独身の日」の影響が大きいことを示していると同時に、消費者がオンラインショッピングをプロモーションを利用する場として期待している可能性も示唆される。

図4. 韓国、中国、タイでの各チャネルで購買された製品のうちプロモーションの製品の占める割合

(出典:Nielsen Asia Pacific Retail Shopper Trendより、各国2015年直近12ヵ月消費者購買パネルデータまとめ)

モバイルショッピング普及が後押しする、オンラインショッピング拡大の可能性

当社調査では中国のモバイル利用者の半数近くがオンラインショッピングを利用していると答えているが、前述の11月11日「独身の日」では、当日のオンラインショッピングのうち43%をスマートフォンなどからのモバイルショッピングが占めており、2014年は前年に比べ4.6倍にも達していた。PCによるインターネットの普及が低い国でも、モバイルからの購入、決済と配送が整えばEコマースが急速に普及する可能性はある。東南アジアの国々も今後注目が必要だろう。

既存のオフライン店舗業態への影響とその反撃: オフライン業態の変革の可能性

オンラインショッピングの加速は既存の店舗に変革をもたらす可能性がある。中国では、既存店舗業態でのプロモーションは言うまでもなく、サービスやブランド力の強化、差別化のために新たな専門店や特別な品揃えの業態も出てきている。今後の中国、アジアのオンラインショッピングの普及とともに、変化する選択肢の中で消費者の行動を注視していくべきだろう(図5)。

図5. 中国のオフライン店舗業態の反撃

(出典:Nielsen China & Chinese Consumers July 2015)

<参考文献>
・Nielsen The Future of Grocery, April 2015 (Nielsen Global E-Commerce and Future of Grocery Survey, 2014)
・Nielsen Winning in China – Luxury conference in Paris, Mar.2015, China & Chinese Consumers, July 2015
・Nielsen China E-Commerce Market White Paper 2015
・Nielsen Asia Pacific Retail & Shopper Trends 2015

文: ニールセン グローバルサービス アソシエイトディレクター 染野朋子