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コラム 「世界のベビーフード事情」
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コラム 「世界のベビーフード事情」

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子供を大切にして、より良いものを与えたいと思う心は万国共通のようで、ベビーフードからおむつまで、子供のために使うお金は増え続けている。ニールセンによると、2015年の世界のベビーフード市場は300億ドル、おむつ市場は290億ドルを超えると予測されている。

一方で、世界の出生率は低下傾向にある。世界銀行によると、1960年から 2013年の間に、出生率は平均45% 減少している。さらに、ベビー用品はそもそも購入、使用期間が限られており、先進国ではおむつの使用期間が約3年間、中国などトイレトレーニングを早く始める国では約14ヵ月間とAdvertising Ageが報告している。この限られた期間に、親の心を射止めるために、さまざまなサイズ、機能を訴求した製品を提供している。

消費者はこのカテゴリーに特にお金をかけるが、極めて厳しい目で商品を選ぶ傾向がある。少数の大手ブランドが優位を占める市場で効率よく勝ち抜くには、消費者がどのように製品を選択するか深く理解することが重要である。
世界全体では、出生率が低下していく中で、発展途上国は、比較的高い出生率を維持している。途上国での都市化や中間層の増加、女性の就労率の上昇は、便利さを重視するライフスタイルを促進し、ベビー用粉ミルクや調理済みベビーフードへのニーズがさらに高まっている。

市場の規模を見ると、アジアは世界の市場の約半分を占める大きな市場になっている。一方で、成長率では南米、アフリカ、中東が他地域よりも高くなってきている。アジアの成長率が低いことを意外に思われた方は慧眼で、これは、中国でのベビー用品の売上がオンラインとベビー専門店に流れた影響である(下図の数値には、オンラインとベビー専門店の売上は含まれない)。

図1. ベビーフードの売上

(出典: 2014年Nielsen Retail Measurement Service)

余談であるが、幅広い選択肢からより良いものを選ぶことができ、それが自宅まで配送してもらえるという利点は、子育て世代のニーズにマッチしており、ベビー用品は中国市場の中でのオンライン割合が高いカテゴリーのひとつとなっている。

ベビーフードのブランドを変えることに消費者は前向きで、世界の消費者の7割がブランドを変更したことがあると回答している。ブランド選択の基準は地域によってさまざまだが、家族や口コミの影響が大きいことは共通しており、アジアで特にその傾向が顕著である。途上国で比較的高いのが、医療専門家の意見である。これは、品質の高いものを求める中で、信頼性の高い情報源として挙がっていると考えられる。対照的に、先進国ではプロモーションや価格の重要度が高い。これは市場にある製品はすでに一定の信頼性があると考えられたうえで、価格を重視した結果と考えられる。

図2. ベビーフードを変える理由

(出典: 2015年Q1 Nielsen Global Baby Survey)

このようなベビーフードの中でも、特に成長率の高いセグメントが2つある。1つはパウチタイプのパッケージで、ガラスなどのパッケージタイプの市場がほぼ成長していないのに対し、パウチタイプは2013年から2014年で28%伸長している。ブラジルでは500%、ロシアで250%の成長と、非常に大きな伸びをしている国が存在し、既存市場が最も大きいアメリカも7%の伸長率を達成している。パウチタイプの利点はその軽さと柔軟さで、親にとっては持ち運びが便利であり、飲み口がついているので子供が自分で食べられ、自立に役立つ、などの利点も感じられている。

もう1つの成長の源泉はオーガニック商品である。消費者の健康志向が高まる中で、自分の子供のために高品質なものを求めるのは自然な流れともいえる。通常の商品よりも高い価格であってもオーガニック品を購入する層はすでに存在し、今後所得が増加して子供にかけられる額が増えてくる途上国でも、成長が見込まれる分野である。

図3. オーガニック・ベビーフードの売上げ

商品の安全性を訴求することは非常に重要で、子供が口にする商品を選択する上で、非常に影響のある情報である。原材料についての透明性や、オーガニック、調理法の安全性などを前面に押して、パッケージ、Web, SNS等様々な経路を通じて消費者に安全性を伝えることは、今後も重要度が高いと考えられる。また、食品であるため、地域の特色に合わせることも重要で、味の好み、フレーバー、補強すべき栄養素、宗教上の要件(ハラル認証等)と、現地化することが必要な要素も多い。現地の消費者から学びつつ、現地で強いブランドとの協業など、信頼性を補強していくことが、厳しい目を持つ消費者からの選択を勝ち取るための鍵と考えられる。

文: ニールセン マーケティングディレクター 高橋統