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デジタル広告の計測に潜むリスクと、計測が広告主にもたらす価値
レポート

デジタル広告の計測に潜むリスクと、計測が広告主にもたらす価値

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2016年の日本の広告費はインターネット広告媒体費が好調を維持し前年比112.9%となり初めて1兆円を超えました(株式会社電通 「2016年 日本の広告費」より)。また、アメリカでは多くのアナリストが2017年はアメリカ市場においてデジタル広告費が初めてテレビ広告費を上回る年となると予測するなど、世界的にデジタル広告への投資は増加傾向が見られます。しかし、デジタル広告への出稿費が好調である一方でボットによるアクセスやアドフラウド、ビューアビリティの問題など、掲載方法やその広告掲載結果計測の不透明さに関する話題も近年多く語られるようになってきました。そこで今回は、まずは広告が、自分たちがメッセージを届けたい相手に届いたのかと言った視点に立ち、デジタル広告の透明性やアカウンタビリティとはどういうことか、それが広告主にとってどのような価値をもたらすのかについて考えてみたいと思います。

デジタル広告の計測の不透明さや不正とは
アカウンタビリティとは関係者に対する説明責任のことです。これはメディアや代理店が広告主にしっかりと説明するというだけの問題でしょうか。広告主においても投資したお金がどのように使われ、どのような効果をもたらしているのか、自らが正確に把握し、ステークホルダーに対し広告の価値を説明する必要があるといえます。例えば、広告出稿の担当者であれば、広告がその事業にどう貢献したかを評価してもらい次回の予算確保につなげるために、上長に投資の効果を報告する必要があるでしょう。では、その価値を説明するにはどういった数値を計測し把握すればよいのでしょうか。ポイントとなるのは正確な数値を把握することです。正確な数値を把握しなければ、デジタル広告の展開において少なくとも以下の4つのリスクが存在すると考えています。

  1. インプレッション数を稼いでいるのがロボットである可能性(アドフラウド)
    Integral Ad Science (IAS) JapanのMedia Quality Report 2015年Q4(10月~12月)によると、日本のデジタル広告のアドフラウド(ボットやソフトウェアプログラムによるネットアクセスのこと。広告不正や広告詐欺と呼ばれている)は全インプレッションの6%となっています。つまり1億インプレッション広告が表示されたと言っても、そのうち600万インプレッションが人に見られていなかったということを指します。しっかりと人が見た広告のみを計測することが重要といえます。

  2. 広告が見える場所に表示されているか(ビューアビリティ)
    ボットではなく人が広告掲載されているページに来たとしても、その広告が人に見える場所に表示されていないというリスクがあります。IASの上記レポート内で日本のキャンペーンのビューアビリティは平均で48%と報告されています。極端に言えば、投資金額の約半分が、表示されていなかった広告に対して課金されていた可能性があるということになります。
    ※アメリカのMedia Rating Council「MRC」が規定したビューアビリティの条件は、ディスプレイ広告では、広告の半分以上が1秒間以上、視聴可能な位置に表示されていること

  3. 同じ人をダブルカウントしていないか(人ベースでの計測)
    次は、デバイスをまたいだ閲覧時のリスクになります。例えば、職場のパソコンで広告を閲覧、スマ-トフォンで閲覧、自宅のパソコンで閲覧した場合、Cookieを元にしたユニークブラウザ単位の集計では「3個」の消費者と認識していまいます。デバイス間の重複を排除した「人ベース」でリーチ/フリークエンシーを考えていかないと、実際はリーチに広がりが無かったり、同じ人に広告を過度に表示してしまったりしてブランド毀損につながるリスクになります。

  4. しっかりターゲットに届いているか(オンターゲット)
    最後は、きちんとターゲットに広告が届いていたのかという点になります。例えばキャンペーンのターゲットが女性20-30代だったとして、そのインプレッションの50%が他の年代や男性であった場合、投資金額の半数が想定外の人への広告に消費されてしまうことになります。弊社のニールセン デジタル広告視聴率を用いた、アメリカの1万件以上の計測結果から計算した平均のオンターゲット率(ターゲット到達率)は、全インプレッションのうち54%でした。同様にアジアパシフィックの計測結果では平均は62%となっていました。

このようなリスクを全て取り払われたデータがアカウンタブルな(説明できる)正確な数値となります。

アメリカでもデジタル広告のアカウンタビリティ、透明性に関する機運が高まっている
2017年1月末開催されたIAB(Interactive Advertising Bureau)のAnnual Leadership Meetingにてプロクター・アンド・ギャンブル(以下P&G)の最高ブランド責任者(Chief Branding Officer)Marc Pritchard氏が広告業界に対して、デジタル広告取引の透明性に関するスピーチを行いました(*末尾にイベントへのURLがあります)。このスピーチでMarc Pritchard氏は、デジタル広告の掲載方法と、その計測方法の不透明さや不正を批判し、認定された第三者機関による計測の重要性を訴え、今後それに従う企業とのみしかビジネスを行わないという宣言をしました。この宣言は広告業界を始めマーケティングに関わる様々な場所から絶賛されており、世界最大の広告主であるP&Gのこのような宣言は一つのロールモデルとなっていくと思われます。デジタル広告に対する透明性、アカウンタビリティに関する機運はアメリカ国内を問わず世界的に急速に高まっていくといえます。

デジタル広告の「正確な」計測が広告主にもたらす価値
デジタル広告の透明性を担保することや、アカウンタビリティを果たすことは、正確な計測結果を蓄積していくことにつながります。これらのデータを元にメディアの選定や、配信方法などを次回の施策実施の際の判断の材料として活用できれば、実際に届けたい層とのコミュニケーションの効率を上げ、投資対効果の最大化につながっていくでしょう。 広告主にとってはアカウンタビリティを果たすために、自らが第三者機関を利用したり、代理店やメディアにその様な働きかけをしたりすることで、アカウンタブルなデータを入手することが必須のアクションとなってくるでしょう。

(ニールセン デジタル シニアアナリスト 今田智仁)

※IABのイベントハイライトはこちら(英語) https://www.iab.com/events/iab-annual-leadership-meeting-2017/

※デジタル広告における透明性やアカウンタビリティに関する最近の動向について、ニールセン グローバルプレジデント兼COOスティーブ・ハスカーがAd Age誌へ寄稿した記事の要約はこちら(日本語) http://www.netratings.co.jp/news_release/2017/04/Newsrelease20170404.html

※2017年3月1日に、弊社主催のセミナーConsumer360にて弊社代表の宮本がデジタル広告の透明性、アカウンタビリティについてお話させていただきました。 資料のダウンロードはこちら(日本語) http://www.nielsen.com/jp/ja/insights/newswire-j/2017/nielsen-consumer360-whatsnext-20170301-handout.html

※人ベースでのデジタル広告測定ソリューション:ニールセン デジタル広告視聴率について http://www.netratings.co.jp/solution/DigitalAdRatings.html