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エリアフリー、タイムフリーの2大機能を実装したラジコの可能性は?
レポート

エリアフリー、タイムフリーの2大機能を実装したラジコの可能性は?

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「2016年 日本の広告費」のなかで、ラジオの広告費は前年比102.5%となり、「年間を通して好調に推移」(出典:株式会社電通 ニュースリリース 2017年2月23日)とコメントされています。また、ラジコ(radiko.jp)については、「リアルタイム以外でもラジオ番組が聴けるタイムフリーサービスがスタートし、利用が促進された」とも記載されています。
インターネット経由で無料でラジオを聴くことができるラジコは運営開始以来、ユーザーが望む機能を一つ一つ実装して利用者の拡大を図っていますが、実際の利用動向には変化があったのでしょうか?
今回のコラムでは、タイムフリー、および、シェアラジオ開始後の半年間の利用動向を中心に、ラジコの現状を見ていきたいと思います。

サービス拡充により利用者の拡大に成功
まず、スマートフォンアプリとPC、それぞれの過去3年分の月間利用者数の推移を見てみます(図表1)。スマートフォンアプリではエリアフリー(プレミアム会員)サービスが開始された2014年4月に月間利用者数が300万人を超え、その後2016年の前半までは350万人前後で推移してきました。2016年3月以降は400万人を超える月もありましたが、タイムフリーが開始された2016年10月に448万人(スマートフォン利用者全体のリーチ7.7%)に達し、その後は常に400万人前後で推移しています。エリアフリーやタイムフリーといった大きな機能拡充のタイミングで、利用者の拡大に成功していることが分かります。一方のPCでは、長い間100万人程度で推移していましたが、スマートフォンアプリと同様にタイムフリーサービス開始のタイミングから微増傾向となり、2017年3月では150万が利用していました。PC全体としてのインターネット利用が横ばい、もしくは、減少傾向にあるなかで増加傾向にあることも注目すべき点だと思います。

若年層の利用者数には拡大の余地が残る
次にスマートフォンアプリからのラジコ利用者の2017年1月から3月の平均で年代構成をみると、50歳以上の割合が最も高く39%、次いで35-49歳の37%、34歳以下は24%となっていました(図表2)。利用の中心は中高年層で、これは前年同期の年代構成と、ほぼ同様となっていました。タイムフリーと同じくして始まったシェアラジオはSNSの拡散から、利用者を拡大する狙いがあると思いますが、SNSを最も活用している若年層の取り込みには未だ余地が残っていることがわかります。

ユーザーの利用促進にも成功
利用者数は増加していましたが、実際の利用状況はどのように変化したのでしょうか。一人当たりの月間利用回数は2016年のタイムフリー開始の10月以降も順調に増加しており、2017年3月では11回となっています(図表3)。図表にはありませんが、月に1時間以上利用する人の割合も、2016年9月以前の半年は平均15%だったのに対し、タイムフリー開始以降の半年では21%と長時間利用する人の割合も増加していました。ユーザーがタイムフリー機能を活用して、自分の都合の良い時間で、ラジコを聴いている結果が表れているのではないでしょうか。

ラジコの今後の課題は?
1. 若年層の取り込み
若年層の取り込みが今後の更なる利用者拡大のキーになることは間違いないでしょう。SNSを通じてシェアできることで、今までラジオをあまり聴いてこなかった若年層にリーチできる点は素晴らしいと思いますが、既にゲームやマンガ、動画のようなエンタメコンテンツに多くの時間を割いている若年層に、どのようにラジオコンテンツを魅力的に訴求するかを更に追求していく必要があるでしょう。例えば、ラジオの出演者のファンが、同じくファンの友人に向けてコンテンツを継続的にシェアしたくなるような、既存のリスナーを活用した新規リスナー獲得のための取り組みを強化するのも一つの手であると思います。

2. ビッグデータ活用
一部のラジオ局や広告会社では、データを活用した番組作成や広告配信の取り組み等を始めていますが、ユーザー数が400万人規模に達した現在、ラジコでも本格的に実施すべき環境が整ってきたと言えるのではないでしょうか。例えば、リアルタイムで聞かれている番組と、タイムシフトで聞かれている番組が、どのように聴き分けられているのか。どのジャンルの番組が、どの時間帯にどのエリアで多く再生されているのかなど、ユーザーの聴取行動を分析することで、より具体的な利用者像が見えてくるでしょう。それによりラジオ局側も広告主側も、聴取者と効率的にコミュニケーションをとることが可能になります。
また、現状はまだ、タイムフリーでも広告自体はリアルタイムと同じものが流れていますが、ターゲティングが可能になれば、位置情報をさらに活用し、例えば通勤エリアなどに合った広告配信なども実現できる可能性があるのではないでしょうか。
データを分析し、ユーザーを知ることで実行できる施策は飛躍的に増えるはずです。

いくつかの制約は存在するものの、エリアと時間をユーザーが自由に選べるという、利用者が望む基本的な機能を実装したことで、利用者拡大のためのハードルは大きく下がったと思います。利用者拡大のための様々な施策を本格的に実施できるステージにきているのではないでしょうか。ラジコの利用動向が、今後どのように変化していくのか、注目していきたいと思います。

(ニールセン デジタル エグゼクティブアナリスト 中村 義哉)