ここ数年にわたり、デジタルコンテンツ消費の加速化につなげて、「若者のテレビ離れ」が話題になっています。
そのような中、オンライン上でテレビコンテンツが視聴できる「TVer」は、オンラインでの同時配信を開始すると、海外では様々な動画ストリーミングサービスが発展するのと同時に、各局がテレビコンテンツのオンライン配信に対応し、今ではテレビコンテンツを視聴できる環境は当たり前になっています。
日本に消費者はマルチスクリーンでのコンテンツ視聴にシフトしていますが、このようなサービスは消費者のメディア視聴にどのような変化をもたらすのでしょうか?
同時配信がもたらす動画市場の変化
(ニールセン デジタル アナリスト コヴァリョ・ソフィヤ)
オンラインでのコンテンツ提供はテレビ視聴時間を奪うのか?
テレビコンテンツを提供する企業にとって、オンライン上で同時配信することで、テレビ放送の時間が減ってしまわないか、ことなどが懸念されます。
まず、オンライン上の配信が消費者のメディア視聴行動にどのような影響を及ぼすのかを把握するために、日本よりも動画配信サービスが浸透している米国のメディア視聴状況に注目したいと思います。
米国のメディア視聴動向をまとめているトータルオーディエンスレポートによると、米国の消費者のメディア接触時間は2018年から1時間24分増加し、1日約12時間はいずれかのメディアに接触していることが分かります(図表1)。 スマートフォンがメディア視聴時間全体の伸びを牽引している状況ですが、18歳以上の消費者においては、テレビでの視聴時間も長く、重要なメディアであることに変わりないことが分かります。
消費者は新しいメディアに惹かれること、有料動画サービス、無料の動画サービスの浸透が進むにつれて、日本においても米国市場のようにメディアの断片が進むことが予想されます。


同時配信でテレビコンテンツのリーチを拡大
では、オンライン上でテレビコンテンツを配信することが、テレビでの視聴の減少につながらない場合、日本においてはどのような変化に期待できるのでしょうか?
同時配信を開始することで、テレビのコンテンツデバイスのないリアルタイムで視聴することが可能になります。
スポーツ以外のコンテンツでも、通勤中に朝のニュース番組を視聴し、お昼の休憩で昼の番組を視聴することなどが可能になります。日本のようにクオリティの高い無料コンテンツに対してニーズが高い市場では、テレビコンテンツをオンラインで同時配信することで、テレビデバイスが環境にない消費者を取り囲むことが可能になり、テレビコンテンツのリーチ拡大が期待できます。
ターゲットに合わせたコンテンツの提供が重要
オンラインで提供されるコンテンツの量が増えるのと同時に、消費者のニーズにあったコンテンツを提供することの重要性が高まるだろう。
有料動画サービスにおいては、多くの消費者は自身のニーズにあったひとつのサービスを選択する傾向があります。
日本では無料のテレビ放送が充実しており、無料で動画を視聴することが主流になっています、000万人を超える規模にまで拡大しました。それは無料で視聴できるコンテンツが豊富にある中で、お金を払ってでも有料動画アプリで自分好みのコンテンツを素早く探し出すことに対して価値を感じている人が増加していることを意味します。
参入企業が増えるにつれて、動画市場においては消費者の可処分時間の奪い合いが激化することが予想されます。動画コンテンツを提供する企業やテレビ局は、消費者の可処分時間を獲得するためにも、消費者の動向や市場全体の動きを正確に把握し、それをもとにPDCAサイクルを回していくことが一層重要になります。

