インサイト

デジタルメディアは、比較できる環境が整ったときにはじめて差別化が可能
ニュース

デジタルメディアは、比較できる環境が整ったときにはじめて差別化が可能

ニールセン デジタル シニアアナリスト 高木 史朗

一般的には、同じカテゴリー内で様々な商品やサービスが存在する場合、提供する企業にとっては他社との差別化を図り、それを顧客やユーザーに理解してもらうことが重要になります。これは、多種多様なメディアが乱立しているデジタル広告業界においては、より一層重要なことといえます。そのため、各社が自社の優位性や特徴を示すために、様々な指標を使って理解してもらおうとしている状況ですが、正しくその価値を伝えきれているのでしょうか?
今回は、デジタルメディアの正しい価値を伝えるための、正しい差別化の図り方について考えたいと思います.

■他社と比較できない指標をアピールしても、差別化にはならない
そもそもメディアにとって差別化をはかる目的は、広告主や広告会社にメディアプランで配信対象として選定してもらうことや、自社メディアの良さを理解してもらい、適切な価格で利用してもらうことです。その際に注意しなければいけないのは、他社より良く見せることに注力してしまうことです。自社のセールスポイントを前面に出せば、選んでもらえるというわけではありません。企業が複数メディアの中から選択をする際、いくつかの視点で横並びに評価し、総合的に評価して、最も適したメディアを選定するという方法をよく取ります。しかし、評価する際の指標が揃っていない場合、横並びで比較することができず、それぞれの良さを理解できないため、目的にあったメディアを選定することができません。重要なのは、広告主や広告会社に自社メディアが他社よりも良いということを理解してもらうことです。もし、選ぶ側である広告主や広告会社が理解できる情報が提供できていなければ、そもそも比較の対象とならない可能性もあります。

■現状の媒体資料で差別化できているのか?
では、現在デジタルメディア各社が公開している媒体資料は、正しく差別化をはかれているのでしょうか?例えば、広告主が20-34歳に対して、動画広告を活用して新商品の認知を獲得したい場合を考えてみましょう。簡略化するために、仮に2つの動画媒体AとBのどちらが良いかを検討すると仮定します。比較検討のために、媒体資料の情報を並べたものが以下の図になります。①をみると、規模感を示す指標として、媒体Aと媒体Bはそれぞれ「リーチ」、「ユーザー数」という異なる指標を使っており、また情報源も異なります。同じように規模感を示す指標ですが、計測基準もわからず意味も異なるため、どちらのメディアを使えばより多くのターゲットとコミュニケーションが取れるのか、正しく判断するのは難しい状況といえます。また、②を見るとそれぞれのオーディエンス属性の示し方が異なっているため、ターゲットである20-34歳とより効率的にコミュニケーションを取れるのがどちらかを判定するのは困難です。

August media insight

上記の例はイメージですが、実際に各社の媒体資料を比較しようとしたときに、指標が「ダウンロード数」や「リーチ」、「ユーザー数」、「PV」、「ユニークブラウザ数」などと異なっていることはよくあります。また、計測手法が異なっていたり、調査時期や調査手法が不明であることも多々あります。各メディアが、自社の優位性や特徴を示すために様々な指標を使っている環境では、媒体間の比較ができず、その特徴が他のメディアと比べて優れているのかを示すことができていない可能性が高いと考えられます。

■基本指標が揃っていれば比較がしやすい
共通指標があると比較が可能になることはわかりましたが、どのような指標が共通化されていると良いのでしょうか?各メディアの個別の特徴には共通化することができない/難しい要素も含まれるため、共通化することで広告主や広告会社にとって意味のある要素としては、リーチやフリークエンシー、ターゲティング条件などの基本的なものに限定されるでしょう。例えば、性年代別のリーチ指標が揃っているケースが以下になります。

Media Insight

先ほどの例で20-34歳をターゲットとした時を考えると、仮に媒体AとBでその年代にリーチできる人数が同程度であった場合は、「ファッション好き」や「IT関心層が多い」といった特徴に目を向けることになります。この特徴は「20-34歳にリーチできる人数が同程度」といった比較条件が揃った上で初めて、「ファッション好き」や「IT関心層」といったオーディエンスの特徴による差別化が効果的な意味を成す、と言えます。

共通指標が揃い、差別化が可能になると、広告主は広告キャンペーンの目的に適したメディアを選定しやすくなり、その特徴を活かしたより効果的なコミュニケーションが可能となり、ブランドの価値を高めていくことができます。そして、メディアは良質なコンテンツで集めたオーディエンス情報により正しく選定され、差別化ポイントにより適正にマネタイズしていくことができるでしょう。

本メールマガジンの内容も含んだ、メディアと広告の価値を正しく評価し、活用していく方法についてまとめたホワイトペーパーを2019年8月に発行しています。
ホワイトペーパー「アドベリの先にある デジタル広告コミュニケーション」は、こちらからダウンロードできます。
https://www.nielsen.com/jp/ja/insights/report/2019/20190809-nielsen-digital-whitepaper-awa-2019/

※2018年9月配信のメルマガ「デジタルメディアの正しい価値を示すには」では、具体的にどのようにデジタルメディアデータを計測すべきかについて、より詳しくご紹介しております。
https://www.netratings.co.jp/email_magazine/2018/09/20180920.html

また、2019年2月配信のメルマガ「ブランド広告主のデジタルシフトに寄り沿うメディア/パブリッシャーデータとは」では、具体的に広告主企業が求めているデジタルメディアデータについて、より詳しくご紹介しております。
https://www.netratings.co.jp/email_magazine/2019/02/20190221.html

ご興味のある方は合わせてご覧ください。