サイト閲覧数を減らして、購入を増やす
2020年に入ってから、多くの人々はこれまでと違う日常を送っています。
緊急事態宣言は5月に解除されたものの、新たな感染者の報告は続いており、感染第2波への懸念が高まっている中、今の購買行動は少なくとも数か月は続くことが予想されます。
実店舗での購入が減り、オンラインでの購入が増加
緊急事態宣言中、スーパーやコンビニ、小売店が営業時間を短縮しています。
実際に、3月中旬と5月上旬に行ったアンケート調査の結果によると、実店舗からの購入が減ったと回答した人は増加し、一方、オンラインでの買い物が増えたと答えた人は、緊急事態前の30%から緊急宣言中は44%にまで増えました(図表1)。
日用品の購入がサイト閲覧数を減らす
将来が見通し辛い時期におかれた消費者は、大きな出費を抑え緊急性のない支出を後回しにして、必需品の購入に充てるように、お金の使い道の優先順位を見直す傾向があります。
商品の買い替えは、何を買うかによって変わりますが、例えば、新しい商品の高価なものを購入する場合、私たちは消費者はじっくり時間をかけて口コミを参考にする、複数の店舗(オンラインショッピングの場合は、複数のサイト)で値段を見比べますが、一方、よく使う商品、例えば日用品の場合は、値段などを見比べることが少ないため、購入までの検討プロセスも短くなる傾向があります。
さきほど見たアンケート調査の結果に加えて、ログデータをベースにしたオンライン・ショッピングの実際の利用状況を見ると、COVID-19前(1月と2月)が比べて、COVID-19中(3月と4月)の1当たりの利用回数は2%減少していました(図表2)。
ログデータからの利用回数は、オンラインショッピング・サービスの訪問回数を指しており、購入および閲覧のみの訪問が含まれます。
購入検討のためのサイト数が少ないということは、オンラインショッパーはその商品を購入することを前提にサイトを利用している、また日用品などの消費財を購入している考えられます。
コロナ禍におけるオンライン・ショッピング・サービス上でのブランディングとは?
オンラインショッピング・サービスは、主に利用者が商品を売買するバーチャルなマーケットとして捉えられますが、消費者とコミュニケーションをとる場所として、ブランド認知を高めたり、販売効果を上げることもできます。
パンデミックの長期化により、現在起きているオンラインショッパーの行動変容が定着する可能性もあります。
購入までのスムーズな体験も重要視されていると考えられます。オンラインショッピング・サービスによっては、既に「ワンクリック」注文や、サブスクリプション(および定期購入)型の定期便など、購入プロセスを簡易化、かつ習慣化させるモデルを運用しているところもあります。パンデミックは、消費者の行動変容を加速させる可能性があります。