
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、ビジネスの先行き不透明感が高まる中、短期的な売上目標達成のために、コンバージョン目的のマーケティング戦略にシフトするマーケティング担当者も多いのでしょうか。1 ポイント上昇することで、売上が1%増加することが分かっています、つまり、ブランド・エクイティを構築することや認知向上などのためのブランディングキャンペーンは、長期的な目標達成に不可欠であるとともに、短期的な成果にも貢献することがわかっています。
ブランドが持つ資産価値であるブランド・エクイティには、様々な要素が含まれますが、例えば、店舗の棚におかれた商品やロゴ、看板を見るなど、プロモーション以外のブランド・エクイティのソースも重要な役割を果たしていますが、新型コロナウイルスの影響で消費者の在宅時間が増加するとともに、オンラインメディアを消費する時間が増え、従来は実店舗で行われていたようなブランド体験もデジタル化しています。
1.オフラインでのブランド認知機会の減少
ブランド・エクイティは店頭の棚にある商品を見て認知することはもちろん、ブランドロゴを見たときにポジティブな体験を思い起こすことや、カスタマーサポートとの関わりなど、ブランドに対するすべての経験とともに蓄積されます。特に、実店舗での購入が多くの割合を占める商品カテゴリーの場合、店舗での買い物時間が減ることで、その分商品やブランドロゴに触れる機会が減少することになります。そのため、ブランドにとっては、このように実店舗で消費者と接する機会が減少することにより、リテンションレートが低下する可能性も考えられます。
日本では、日品の多くが実店舗で購入されていますが、コロナ禍において直近1年間のオンラインショッピングの利用は大幅に増加しました。デジタル・コンシューマー・データベース2020によると、多くの商品カテゴリーにおいて、2020年4月以降、初めてオンラインで商品を購入した、または頻度が増えたと答えた人が20%前後となっているのに対し、日品の割合は特に高く、28%となっています。Commspointによると、実店舗で「過去に購入し たことのないブランド」を購入する割合はわずか4.3%だったのに対して、オンラインでは、12.1%と約3倍になっていました、オフライン、オンラインともに売上を維持するためには、マーケティング活動を通じてブランド・エクイティを維持することが重要になります。
2.オンラインでのブランド認知機会の減少
オンラインでの購入が増えるということは、今までは店舗で購入されていた商品がそのままオンラインで購入されていると考える方も多いのではないでしょうか。
また、コロナ禍の影響により、オンラインでの商品購入検討も増加傾向にあります。デジタル・コンシューマー・データベース2020によると、例えば電化製品の場合、店舗で購入した人のうち44%はオンラインで購入検討をしている、昨年と比べても8ポイント増加していました。
このような消費者の行動の変化によって従来のブランド・エクイティのソースが失われ、長期・短期的な売上に影響を与えることは間違いありません。結果、従来のブランド認知経路は変化していくことになりますが、こうしたプロモーション以外のブランド・エクイティのソースを当たり前のものとしてきたブランドにとって、認知を維持することは次第に困難となり、マーケティング活動に積極的な競合他社と比べて遅れをとっていく可能性があります。
コンバージョン目的のマーケティングは、特に予算が少なく、目の前の目標としているROIを達成する必要のあるブランドにとっては魅力的に映るかもしれません。ブランド構築にかける費用が少なすぎると、新規の消費者獲得が進まず、購買や来店などの行動を促すアクティベーションの効果が十分に発揮できなくなることです。ブランドにとって上位ファネルと下位ファネル、それぞれのためのマーケティング施策をバランス良く実施していくことが、長期目標を達成する上での成功の鍵となります。
本コラムに関連する「ブランドレゾナンスレポート "ブランドの舵取り"」こちらからダウンロードできます。



