「抜け出したい!」COVID-19禍中の広告に対する生活者の共感
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「抜け出したい!」COVID-19禍中の広告に対する生活者の共感

メディア業界が COVID-19 によって引き起こされた激動の時期に対応する中、適切なデータを活用して実施した広告キャンペーンが消費者の興味・関心を引き付けているかどうかを判断することがさらに重要となっています。マーケターにとってパンデミック発生後のメディア接触の著しい増加は、今までの流れを変える動きです。ここで課題となるのが、消費者へのリーチや接触がさらに困難となる中、マーケターが手掛ける広告が大量のコンテンツから抜け出すことができるのかということです。COVID-19発生前に目を向けると、視聴者属性によるターゲティングの40%が意図したオーディエンスにリーチせず、総インプレッション数の50%はビューアブルではなく、広告キャンペーンの20%は認知されなかったというデータがあります。

この課題を解決するのは、強力な広告クリエイティブです。売上への貢献という点では、強力な広告クリエイティブの重要性はメディアプランの4倍、広告の認知獲得という点ではターゲティングよりも5倍重要性が高くなっています。

広告クリエイティブを現実の世界でテストすることで、キャンペーンが以下を達成できるどうかを判断することができます。

  • 好意: 広告が気に入られたか、広告に対する消費者の反応は?
  • エンゲージメント: 広告は消費者に新たなものを提示し、広告を見た消費者はもっと知りたいと思ったか?
  • 共鳴: 誰に向けた広告であるのかが明確になっているか?
  • 理解: 広告を視聴した消費者は、どのように広告を説明するか?広告はキャンペーンが訴求するメッセージをしっかりと伝達できているか? 
  • 記憶: 広告を視聴した消費者は、広告を思い出せるか?
  • 最適なフリクエンシー: 投下した広告予算を最大化する露出フリクエンシーは?

COVID-19に関連する広告活動は、急激に増加しています。2020年第1四半期(1-3月期)、COVID-19について言及しているモニタリング対象広告の約90%は3月の第3週から5週目にかけて掲載され、4月に入ると掲載数はさらに増加しています。ドイツ、英国、イタリアやスペインを含む複数の欧州市場では金融、通信やスーパーマーケットの広告増加が著しくなっています。

増え続けるCOVID-19関連広告の中で注目を獲得し、真に価値のある広告を制作する上で重要となるのは「オーセンティシティ」(ブランドらしさ、真摯な姿勢)です。消費者に対して共感を示し、ブランドにとって基盤となるコミュニティーに対してどのようなサポートをしているかを伝えることで、ブランドの声明を確立していくことが今最も重要です。最も効果的な広告は、センスよく作成され、私たちが世界中で見ている5つの共通の傾向の1つを共有しています。

1.慈善活動 

パンデミックを克服するにはコミュニティの結束が必要という考えの元、多くのブランドは様々な情報発信源に予算を投下し、各ブランドがコミュニティにおける役割を果たしていることを訴求しています。具体例を挙げると、UnileverはDove のインスタグラムキャンペーンで1億ユーロ相当の手指用消毒剤、石鹸、漂白剤や食品を寄付すると公表しました。Budweiserはアメリカでのテレビ広告活動を通じて、同社のスポーツ予算500万ドルを赤十字に寄付すると発表、赤十字との取り組みにはスタジアムを献血センターとして活用することなどが含まれています。

2.医療機関や医療従事者への支援

世界各国では、自らの命をかけて感染者にケアを提供する医療従事者への感謝の輪が広がっています。英国ではMcDonald’s、Domino’s PizzaやBurger Kingなどを含む外食店やUber、Gett、Europcarのような運送会社が物品やサービスの寄付、または「ありがとう」という感謝のメッセージを共有することでNHS(国民保険サービス)に対する支援をしています。これは全世界で見られるトレンドで、中国では電子自動車メーカーのBYDが医療従事者向けフェイスマスクを製造している他、フランスでは高級ブランドのLouis Vuittonが自社生産ラインを改造して、医療従事者用に手指用消毒剤の製造を行っています。

3.ブランドによるソーシャルディスタンス啓蒙活動

距離をとらなければいけないというのは生活者にとって精神的に負担のかかることですが、感染拡大を防ぐためには非常に重要な手段です。世界各国のブランドは、「人と人との適切な距離を確保する」という政府が発信するメッセージの伝達や強化を支援しています。最も簡単な視覚的手段として、ブランドのロゴやシンボルの変更があります。注目を獲得できると同時に、ブランドにとっては強力なコミットメントを伴わない、比較的負担の軽い方法だと言えるでしょう。一部のブランドはATLキャンペーンに予算を投下し、ソーシャルディスタンスを維持する方法やソーシャルディスタンスの重要性を啓蒙しています。

4.今だからこそできること

一部のカテゴリーに属するブランドは、生活者の自主隔離により思いがけない形で売上を増やしています。COVID-19の影響により、食品デリバリーサービスには消費者が殺到しています。南アフリカの Pick n Payは対消費者コミュニケーションを通じて、過剰な量を注文しないよう呼び掛けると同時に、食糧がなるべく多くの生活者に行き渡ることの重要性を訴えています。米国DoorDashも同様の戦略を採用して、消費者に対し地元企業を支援するよう呼び掛けています。

5.安定性と柔軟性  

COVID-19 危機下において顧客に経済的な安定を提供するために、金融機関は融資や返済規約の見直しを行っています。ビジネスやプライベートバンキングの顧客を支援する取組みには、無利息でのバッファーオーバードラフト(借越し)、住宅ローンの支払額の減額や一時的な支払い休止、非接触型決済の限度額の引き上げ、ビジネスローンに対する金利の引き下げなどがあります。これらの事例は金融機関ならではのものですが、安心感や柔軟な対応は全ての業界で生活者に提供することが可能です。