視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社は、「ニールセン デジタルコンテンツ視聴率(Nielsen Digital Content Ratings)」、スマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView) 」のデータをもとに、2020年の日本におけるトータルデジタルとスマートフォンでのインターネットサービス利用ランキング、「Tops of 2020: Digital in Japan」を発表しました。
2020年、日本の消費者の生活はCOVID-19により大きく変化しましたが、それはインターネットの利用にも影響を与えています。近年インターネットの利用は、デバイスではスマートフォンがメインに利用される状態が続き、リーチTOP 10サービスの顔ぶれは大きく変化していませんでした。しかしCOVID-19の影響で、このようなインターネット利用の膠着状態に変化が訪れました。マーケターが消費者とコミュニケーションを取っていく上では、現在どのデバイスで、どのようなインターネットサービスが利用されているかなど、これまでとのインターネット利用の変化について把握しておくことが重要です。
これまでも継続して利用者数を増やしてきた動画サービスは、不要不急の外出自粛により自宅で過ごす時間が増えたことで利用が加速し、生活に欠かせないコンテンツに成長しました。スマートフォンアプリのリーチTOP 10サービスに着目すると、「YouTube」は2位で65%となり、昨年よりも4ポイント増加しています(図表1)。さらに、スマートフォンアプリの利用時間シェアTOP10では、「YouTube」は2位で7%となり、昨年よりも2ポイント増加しています(図表2)。また2020年には、NHKと日本テレビがオンラインでテレビ番組を同時再配信するサービスを開始しました。これまでテレビでしか視聴できなかった番組が、スマートフォンやパソコンで視聴できるようになったことにより、消費者は場所や時間を選ばずに自分の好きなテレビ番組コンテンツを楽しめるようになりました。また一方で、テレビの大画面でオンラインの動画コンテンツを楽しむ利用者が増加するなど、動画コンテンツの視聴に用いるデバイスが多様化しています。
またCOVID-19による消費者の生活の大きな変化は、他のサービスの利用も促しました。過去のプレスリリースで紹介したように、オンラインショッピングでの日用品の購入や、オンライン会議システムの利用が挙げられます。PCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルのリーチTOP 10サービスに着目すると、感染症対策として非接触型決済が注目されたことによってQRコード決済サービスの利用者数が大幅に拡大し、近年あまり顔ぶれの変化のなかったTOP10サービスにランクインするまでに成長しました。QRコード決済サービスの「PayPay」は10位で27%となり、昨年よりも11ポイント増加しています(図表3)。QRコード決済事業者の中には、実店舗での決済サービスの提供に加え、同じ企業グループ内でオンラインショッピングサイトやフリマサービスを運営することで、オフラインとオンラインの両面の購買行動を支援している企業もあります。消費者にとっては、例えばフリマサービスで販売して得た売上金を、手数料が掛からずに同社の決済サービスで利用できるなどのメリットが得られるケースもあります。こうした動きは、今後の消費者の購買行動や、企業の購買行動データを活用したマーケティング活動にも大きな変化を与える可能性があります。
動画サービスはCOVID-19の影響で、利用時間やサービスに変化が見られるようになりました。マーケターはメディアプランを検討する上で、利用者がどのようなコンテンツを消費しているのかを正確に把握することが、重要です。また、QRコード決済サービスは現在数多くのサービスが乱立している状態ですが、今後サービスの連携や統合も起こり得る可能性の一つとして仮定するとサービスごとの利用者数はもちろん、サービス間の併用状況も重要なポイントです。さらに、QRコード決済サービスとオンラインショッピングサービスの併用状況にまで視野を広げるなど、サービスを横断して利用状況を正確に把握することが重要です。