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ビッグデータの隠れた問題点

1分で読めるシリーズ|ニールセンデータサイエンス担当SVP モリー・ポピー|2021年11月号

メディア関係者の間では、昨今、計測の未来とビッグデータの可能性に話題が盛り上がりを見せているニールセンは以前からビッグデータの価値を理解しており、先月、米国のテレビ視聴率サービスビッグデータで補強する動きに関する情報を追加発表しました。 

過去数か月の出来事が示すように、ニールセンは完璧な測定パネルが存在しないことを理解しています。

しかし、ビッグデータのメディア業界が直面する課題を解決する「救世主」扱いする向きがある一方、ニールセンのデータサイエンティストチームはこのような見解に対し、疑問を感じています。

ビッグデータの価値やポテンシャルの大きさについては疑いの余地がないもの、現在、メディア業界が使用可能なビッグデータセットには、現実的な制約があります。

最近の例

米国の測定サービス企業Comscoreはニールセンのポータブルピープルメーター(PPM)データの利用停止に伴い、同社は今後、データ分析ツールを提供するグローバル企業ExperianのConsumerViewデータベースのデータセットを用いて、測定を目的とした個人視聴者の特定を行うと発表しました。

しかし同社の顧客にとっても、消費者にとっても、残念ながらそうではありません。

現在、個人の特定が可能な情報にもとづいてデータセットのマッチングを行い、直接収集およびモデリングされたデモグラフィックデータを提供するサードパーティベンダー企業は数多く存在します。ニールセンでは、このようなデータを定期的に精査しています。)各世帯との正確なマッチングが行われるかどうか、そして2) 視聴者属性データが特性を正確に報告されているかという視点をもって、サードパーティティータの正確性を検証しています。 

ニールセンの検証結果は、広告主の注目に十分値します。 

現在のデータセットの大部分は、視聴者属性プロファイルではなく、請求書の情報やオンライン行動の収集を中心に構築されています。 

そのため、特定の世帯に実際に住んでいる人についての確実な情報は限られていま す。また、世帯内の誰が特定の時間番組を見て示すこともできません。他のデータソースを用いてこれらのデータセットにトライアンギュレーション(三角測量)を行ったとしても、推定に対して大きなギャップや誤差が生じる可能性は極めて高くなります。これらのデータの利用方法がターゲティングの場合は支障がないかもしれませんが、測定を目的とする場合、これらのデータセットは測定に求められる正確性、客観性や透明性を欠いています。

なぜそれが重要なのか?

では、実際にはどのような意味があるのでしょうか?これにはいくつかの意味があります。 

Comscore社は、実際に確認された10万人の人々にマイクを取り付け、彼らが何を見ているかを正確に追跡するニールセンのPPMからの移行を進めています。

その結果、誰が何を見ているのかを正確に読み取ることができなくなります。

しかし、もっと大きな意味を持つのは、この変化によって、米国の真の姿を捉えることが遠ざかってしまうことです。

これらのデータセットは、持ち家に長く住んでいる世帯に関しては比較的有用であることは周知の事実であり、理にかなっています。 

これはセットトップデータボックスから構築されるデータセットにも当てはまり、これらのデータセットは有料ケーブル放送にお金をかける裕福な生活者を過大にカウントする傾向にあります。その結果、多くの企業のマーケティング担当者が狙う、比較的低い収入が層が不均衡に除外されることになります。 

メディア業界は、アフリカ系やラテン系のコミュニティを正確に代表することを最優先課題としています。

代表性がある、検証・監査されたパネルに裏打ちされたビッグデータから派生した計測ツールは、残念ながらニールセンの次元に達していません。

業界全体にとってのより広範な課題

ここではComscoreを例として、ビッグデータの問題について触れましたが、これは現在提供されている全てのビッグデータに関わる大きな課題です。

2020年8月、ANA(全米広告主協会)、全米広告主協会)、業界団体のMRC(メディア・レイティング・カウンシル)、Sequent(シーケント)。パートナーズと共に、メディアターゲティングにおけるオーディエンスの代表性の度合いを把握し、調査を実施した際、ニールセンのデータベンチマークとして採用された。この研究では、高品質のマーケティングデータとメディアデータを集約し、アフリカ系、ラテン系やアジア系オーディエンスへのターゲティングの正確性を把握した。

同調査で、業界が信頼するビッグデータセットは、マーケティング担当者にとっては重要となる上記3つのコミュニティを正確にターゲティングできていないことが判明しました。 

これに対し、ニールセンの強固なパネルは実在する人物から直接収集され、米国の総人口を代表する多種多様な情報を提供します。

それだけでは完璧とは言えません、他の産業、例えば製薬会社が薬の承認を得る際にパネルに似たアプローチを採用している理由があります。

ビッグデータの可能性に対する期待は様々な業界で高まっている、ニールセンもビッグデータの価値や可能性を評価している、しかしメディア業界の関係者は、ビッグデータによって解決が可能なこと、可能ではないことを正直に認めるべきだろう、ニールセンが描くメディアの未来ビジョンは、ビッグデータのリーチと実在する個人から強固なパネルの組み合わせだ、。多くの業界関係者がビッグデータの可能性に期待していることは承知しています、私たちも同様です、しかし、業界としては、ビッグデータで解決できること、できないことを正直に説明する必要があります、ニールセンが描くメディア計測の未来ビジョンは、ビッグデータのリーチと実在することから成るパネルの組み合わせによるものです。

この記事はNext TVに掲載されたものです。

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