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Oscar watch: 今年のノミネート作品の背景にあるストリーミング配信戦略を追う

4分で読む|2023年3月

ストリーミング配信が米国のテレビ視聴者に 支持されるようになったことで、映画スタジオは主要な視聴者をいつ、どのような形で取り込むのがベストなのか戦略を検討する上で、ストリーミング配信は重要な配信検討事項となっている。そして、来る第95回アカデミー賞の話題が高まるにつれ、ストリーミング配信が劇場公開の代替ではなく、補完するものへと進化していることがわかる。

ほんの数年前と比べると、映画館とストリーミング・サービスで同時に映画を公開することは、ストリーミングが観客を惹きつけるという理由以外には、もはや珍しいことではなくなっている。2022年、アメリカ人は 1,900万分以上のコンテンツをストリーミングした。また、映画の観点から見ると、2022年に最も視聴された15本の映画のうち、アメリカ人がストリーミングした時間は1120億 分を超え、2021年に最も視聴された15本の映画のうち、約840億 分を上回った。

しかし、観客は2022年を通して劇場に戻ってくるため、今年の作品賞ノミネートの多くはまだストリーミングサービスに上陸していない。今年のノミネート作品の劇場公開からストリーミング配信までの期間が長いのは、昨年のCOVID-19(ニールセンについて )の懸念軽減を踏まえた配信アプローチの進化を反映している。2021年の『Don't Look Up』が劇場で14日間独占公開されただけだったのに比べ、2022年の『哀しみのトライアングル』は10月7日に劇場公開されたが、それから約半年経ってもストリーミング視聴はできないままだ。

昨年3月27日に開催された第94回アカデミー賞では、作品賞にノミネートされた1作品を除くすべての作品がストリーミング配信され、5つの異なるプラットフォームで多くの視聴者を集めた。1作品を除くすべての作品が劇場独占配信というタイトな枠に収まったことで、観客はアカデミー賞の前に自宅で快適に映画を見ることができた。例えば2021年、観客は『CODA』を2億1,100万時間ストリーミング視聴し、同作品は2022年のアカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞した。

また、アカデミー賞授賞式間近にこれらの作品がストリーミング配信されたことで、授賞式の宣伝の後に視聴者のハロー効果も促進され、視聴者は2022年を通して作品賞ノミネート9作品のストリーミングを約85億分視聴した。

早1年、2023年の作品賞にノミネートされた作品のうち、米国の映画館とストリーミング・サービスで同時に公開されたのは1本だけだった:1929年の同名小説の3度目の映画化である『西部戦線異状なし』だ。その結果、米国の観客は2023年2月12日までにこの映画を17億分ストリーミングした。比較的、今年の作品賞にノミネートされた4作品は、まだストリーミング・サービスで視聴可能になっていない。

つまり、『エルビス』が45日間の劇場独占期間を経て2022年8月にHBOマックスに上陸したときのように、これらの作品がストリーミングに移行したときに視聴が復活する可能性が高いということだ。2023年2月12日までに5億6,800万分(2022年には21億2,200万分)ストリーミングされたからだ。

視聴者がストリーミングに引き寄せられ続ける中、映画は依然としてテレビ視聴の重要な原動力である。パンデミック(世界的大流行)の最盛期には、映画館に足を運ぶという選択肢がないときでさえ、ストリーミングは映画業界に観客を提供した。3年後、日常生活の多くがほぼ正常に戻った今、映画配信はよりバランスが取れており、ストリーミングは、映画館で映画を見ることを選ぶ観客以外にも、さらなる観客にリーチするための拡張機能を提供している。

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